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貿易摩擦とは

貿易摩擦とは、そのような摩擦のことではありません。たとえば、日本製自動車をアメリカに輸出するとき、それを扱うアメリカとの間には契約までにいろいろ摩擦、ギクシャクがあるでしょう。この例だと、貿易摩擦はアメリカの自動車メーカーとの間に発生するものです。日本車に市場を奪われて売上げ減、生産減に追い込まれるアメリカのメーカーは、日本車の対米輸出を減らすための行動を考える。その行動は、アメリカの政府と議会に対策を迫るという形をとらざるをえません。雇用確保は政治の課題と考えられています。納税者でもある企業の要求を無視することは、政府にも議会にも不可能。政府側からしても、個々の産業での輸入増が貿易赤字を生むまでにいたれば、対応策を考えざるをえなくなります。こうして、両国の当該産業間の対立が政治問題化します。貿易摩擦とは、各国の産業間の対立が、自国の政府や議会を動かすまでに進み、たがいに公権力による報復措置(輸出入禁止とか懲罰的高関税をかけるとか)を取るぞとおどし合う段階にエスカレートしたものと言えるでしょう。

アメリカは恵まれた自然をフルに活かす

アメリカは恵まれた自然をフルに活かして、今日の「資源大国」「農業大国」としての地歩を築きました。もちろん、いぜんとして産業面でもグレイト・パワーを持っているわけですから、アメリカは世界に比肩する国がない「産業」「資源」「農業」のいわば輝かしい「三冠王大国」なのです。しかし、今アメリカが大きな問題に直面しているのは、先に触れた通りです。「資源大国」は一方で資源節約型システムへの転換を遅らせ、地球環境問題にどう対処していくのか、大きな宿題を与えられました。「農業大国」についても、財政赤字の一因とも言える農家の政府補助金依存体質をどのように変えていくのか、難問を抱えています。こうした問題は、いわば何度も防衛してきたチャンピオンが、挑戦者から激しく追い上げられ守勢に立たされる中で、苦しまぎれに講じた手段が招いたもの、と言ってよいでしょう。それだけに、アメリカはいち早く態勢を立て直し「攻撃は最大の防御」と、今度は逆に攻勢に転じる必要があります。

組織としての「度量の大きさ」も

異質な人間を抱えられる組織としての「度量の大きさ」も問われるだろう。狭い組織防衛本能や官僚主義にとらわれることなく、異質の人間がぶつかりあうことによって面白いアイディアを引き出し、画期的な新商品に結びつけていけるような、自由で活気のある組織に大胆に変革していく。そうした「度量」がなくてはならない。また、当たるかはずれるかわからないが、とりあえず一回トライしてみようというような、リスクに積極的に挑戦する「度胸の大きさ」も問われるだろう。こうした「構想力の大きさ」「度量の大きさ」「度胸の大きさ」はもちろん、スピードをともなわなければ意味がない。それらは経営者だけに求められていることではないだろう。ミドルマネージメントにも、若手にも、スピードをもって企業を動かそうという度胸が必要だ。欧米の企業であれば、トップが替われば企業自体が相当変わる。ところが日本では、トップが変えようとするとミドルマネージメントがサボタージュしたり、「殿、ご乱心」とばかりに肘を押さえたり、「実施上いろいろ難しいことがあります」などと言って止めに回ったりするところがかなりある。実は、大企業の若い世代には、想像力も起業家精神も旺盛な活気ある人材が育っている。しかしそういう人材の中にも、あまりのスピードの遅さに待ちきれず、それこそドットコム企業に飛び出していく人たちが増えている。大企業の組織力は生きている。ネットのコミュニティにたとえ5万人が集まったとしても、企業組織の5万人が一つの目的のもとに動くというダイナミズムは持ちえないからだ。大企業はトラフィック革命の中でその組織力をどう活かすか。スピードある変革は大きなチャンスをもたらすはずだ。


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